ローボールテクニック(承諾先取り法)の活用法&対策!

この記事では『ローボールテクニック』という交渉術についてご紹介します。

 

ローボールテクニックを使うと、相手から『YES』を引き出せる確率がグッと上がります。

反面、ある意味だまし討ちにも似たテクニックなので、使い方を間違えるとあなた自身の信用が下がることも…

 

そうならないためにも、ローボールテクニックの正しい使い方を学んでおきましょう。

また、逆にローボールテクニックを使われた時の対処法も合わせて紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ローボールテクニックとは

ローボールテクニックとは、『最初に相手に有利な条件を提案し、その後で有利な条件だけを撤回する、または不利な条件を提示する』という交渉のテクニックです。

先に相手の承諾を取ってから、有利な条件を撤回したり不利な条件を提示することから、別名『承諾先取り法』とも言われます。

 

低い位置(=相手が承諾をしやすい条件)から提案を始めることから、ローボールテクニックと呼ばれるようになったテクニックです。

 

心理学の名著『影響力の武器』では、『ローボールテクニック』を使うと、最初から本命の条件を提示した場合に比べて、承諾してもらえる確率が2.3倍(24%→56%)になったという事例が紹介されています。

ローボールテクニックがこれだけ強烈に相手の『YES』を引き出す背景には、人間が誰しも持ちうる心理作用があります。

ローボールテクニックが有効な理由

ローボールテクニックの効果は、主に以下の2つの要素によって支えられています。

  • 一貫性の原理
  • コンコルド効果

これらの心理が、どのように説得力に影響するのかを、それぞれ個別に見ていくことにしましょう。

一貫性の原理

一貫性の原理

自分の行動や発言、態度、信念を一貫させようとする心理のこと。

ローボールテクニックでは、事前に相手から『YES』という承諾を引き出しています。

そのため、相手は「今から主張を変えるのは不誠実な人間だと思われるのでは?」という考えが頭をよぎります。

 

結果として、たとえ後から不利な条件を提示されても、前回の行動と一貫する(=相手の提案を承諾する)ように行動する可能性が高くなるのです。

コンコルド効果

コンコルド効果

ある対象への投資が損失につながると知りつつも、それまでの投資を惜しみ、さらに投資を続けてしまう心理作用

身近な例で言えば、2000円を払って見始めた映画がつまらなかった場合、あなたならどちらの行動をとりますか?

  1. 2000円払ったんだから、つまらなくても最後まで映画を見る。
  2. 2000円払ったけど、つまらないから5分で映画館を出る。

 

冷静に考えれば、つまらない映画を観る時間を他のことに当てられる分、後者の方が合理的な選択と言えます。

ですが、多くの人は最初に払ったコスト(2000円)を惜しんで、最後まで映画を見るという選択をする傾向があるのです。

 

ローボールテクニックでも、その商談に至るまでには、アポイントの調整やその話を聞いた時間などのコストが発生しています。

そこで、多少不利な条件を提示されても、これまでの苦労が台無しになるよりはマシと考えて、不利な条件でも受け入れてしまう可能性が高くなるのです。

ローボールテクニックを使う際の注意点

ローボールテクニックは非常に強力なテクニックではあるものの、後から相手に不利な条件を提示するという点で、ある意味だまし討ちにも似た一面があります。

 

仮に1度目の交渉ではうまくいったとしても、相手が「騙された」と感じたら、信頼を失って2度と取引をしてもらえなくなる可能性もあります。

そのため、このテクニックを使う場合には、以下の2点を意識するように心がけてください。

1、しっかりとした理由を説明する

たとえ故意でなかったとしても、後から不利な条件を提示されたら「なんで最初に言ってくれなかったの?」と相手の不信を買うことになります。

そのため、このテクニックを意図的に使う場合には、あらかじめ『不利な条件を後から提示しなければいけなかった理由』を用意しておき、相手に説明するのがポイントです。

2、謝罪などの誠意を見せる

意図的にせよ、意図的でないにせよ、ローボールテクニックを使う場合は、しっかりと謝罪をして誠意を見せることが大切です。

 

当たり前の話ですが、何の謝罪もなくいきなり「あ、先ほどの件なんですけど、実はこういう条件になってしまいました」と言われたら、「話が違う!」となります。

同じ状況でも、「大変申し訳ありません。実は先ほどの件なのですが、今改めて確認したらこういう条件になってしまいました。」と謝罪の言葉があれば、「そうなんですね」と納得してもらえる可能性は高いですよね。

 

人はなんだかんだ言っても『感情の生き物』なので、このような何気無い一言がとても重要だったりします。

ローボールテクニックへの対処法

ここからは、ローボールテクニックを”使われた場合”の対処法をご紹介します。

いざ、自分が交渉の場に立った時に、不利な条件を受け入れさせられないように、しっかりと対策を覚えておきましょう。

対策1 本当の提案をベースに考える

ローボールテクニックを使われた場合、まず最初に『最初から不利な条件も盛り込んだ提案だったら承諾しただろうか?』と自問するのが効果的です。

 

ローボールテクニックが効果的な理由の一つは『事前の承諾によって一貫性の原理が働く』ことにあります。

逆に言えば、事前の承諾がなければローボールテクニックは使えないということです。

 

よって、「最初からその提案がされていたら〜?』と考えることで、自分は本当にその承諾を受け入れたいと思っているのかを明確にすることができるようになります。

対策2 罪悪感を持つ必要はない

故意かどうかは別として、ローボールテクニックは相手が後から条件を変えられる『アンフェア』な交渉であることを覚えておきましょう。

そのため、「さっき承諾しちゃったから、これで断ったら失礼かも」と罪悪感を持つ必要は全くありません。

 

また、後から不利な条件を提示された時は、その場で判断せずに、一度時間を空けるなどして冷静に考え直す時間を作ることも大切です。

 

営業マンからは「今すぐ決断していただかないと」と急かされることが大半ですが、冷静に考えて後から条件を変えた相手側に非がありますよね。

なので、もしも途中で条件が急に変わった場合は、「考え直すのでまた次の機会に!」と強気に出て、一度保留にするのが効果的です。

その他の有名な交渉術

ローボールテクニック以外で有名な交渉テクニックに『フットインザドアテクニック』や『ドアインザフェイス』といったものもあります。

これらは交渉術の中でも有名なテクニックなので既にご存知かもしれませんが、復習も兼ねてさらっと目を通してもらえたら嬉しいです。

フットインザドアテクニック

最初に簡単なお願いをして受け入れてもらった後に、本命のお願いをするテクニック

フットインザドアテクニックについては、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて読んでみてください。

 

ドアインザフェイス

最初に受け入れがたいお願いをして断らせた後に、断った罪悪感を利用して本命のお願いを受け入れさせるテクニック

ドアインザフェイステクニックについては、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて読んでみてください。

ローボールテクニック まとめ

今回は『ローボールテクニック』についてご紹介しました。

 

交渉術の中でもかなり効果的な反面、使い方を間違えると詐欺や騙しのテクニックと捉えられてしまう場合もあります。

この記事を参考に使い方や注意点をしっかりと理解した上で、ここぞという時に使ってみてください。